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2024年通常国会 共同親権に対する動きまとめ

2024年の通常国会で大きな議論を呼ぶであろう議題の一つが「共同親権」である。現行法では離婚後、子に対する親権は父、母どちらか片方がとるという形を取る「単独親権」であるが、今国会で現行法を改正し父母の双方が親権を持つことができるよう改正する動きがある。

一方で共同親権に対しては法律の専門家などを始めとしてその危険性を指摘する声もあり、自民党、立憲民主党内でも賛成、反対の両意見が混在する。また共同親権を公約としてきた日本維新の会を始め、今国会で各党がどのような立場に立つのか注目される。

この記事では今国会での立憲民主党、自民党を始めとした与野党の最新の動きについて更新していく。

 

政府、「共同親権」導入に向けた民法改正案を閣議決定


3月8日

政府は8日、夫婦離婚後に父母どちらも親権を持てるようにする「共同親権」導入のための民法改正案を閣議決定した。各社報道によると、民法改正案の内容は以下の通りとなる。

・離婚後、夫婦で協議し共同親権か単独親権が選べるようになる

・協議がまとまらない場合には、裁判所が親子や父母の関係を踏まえて親権を決める 

・一方の親からの虐待やDVが認められる場合には、単独親権を定める

・養育費の不支払が生じた場合差し押さえをしやすくするため、ほかの債権に優先して請求ができるようにする

・父母間の取り決めがなくても、最低限の養育費を請求できるようにする「法定養育費」を定める

・別居や離婚後、親子が早期に面会、交流できるよう調停中や裁判中に家裁が仲介できるようにする。

 

立憲民主党の泉健太代表は3月8日の定例会見にてこの民法改正案への賛成の可否について、「(共同親権は)DVについての問題もあれば、共同親権によって両方の親が関わりを持つことができるという点もあり、それで上手くいくケースもあれば、逆効果になってしまうという指摘もある。人権の尊重や子供の安全という面から慎重な検討が必要であり、党内の議論を進めている」と述べた。

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では泉代表の言う「利点」と「問題点」とは何なのだろうか。

まず利点としては、「親子間交流の促進」が挙げられる。共同親権を推し進めてきた自民党の牧原秀樹議員は当事者からのヒアリングにおいて配偶者が子供を連れて行ってしまったことにより、子供と会えなくなってしまったという声を実際に聞いている。

このような声を踏まえ、共同親権の導入により両方の親が一方的に妨げられる事無く適切に子供と関わりを持つことができるよう担保されるという利点がある。

 

一方懸念点としては、共同親権によるDVや虐待からの避難が困難になる懸念や進学、医療などの迅速な決定が困難になる懸念、再婚が困難になる懸念などいくつかの問題点が指摘されている。

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これらの利点、そして問題点を踏まえ改正案に対し各政党がどのような判断を下すのか、今後の動きが注目される。

 

自民、「共同親権」導入について法務部会で了承、今国会で改正案を提出へ


2024年2月19日

自民党法務部会は19日、「共同親権」について来月にも国会に改正案を提出する方向で了承した。また改正案が成立すれば、公布後2年以内に施行することとなっている。

 

これについて共同親権推進を強く訴えてきた自民党の牧原秀樹衆院議員は、改正案の内容について、共同親権に加え「養育費確保強化、親子交流推進、親以外家族との交流、財産分与期間制限の延長、精神病の離婚事由からの削除、夫婦間契約取消権の削除」を規定すると明かした。

 

共同親権をめぐり超党派の勉強会が発足 立憲・福山哲郎参院議員と自民・野田聖子衆院議員が発起人


2024年2月9日

今国会に提出される方向性となる「共同親権」について、その改正に慎重な姿勢を見せる自民党、立憲民主党、日本維新の会、共産党、社民党など超党派の議員による「親権のあり方勉強会」が9日、発足した。会合では法務省から要綱案の説明を聴取したうえで、当事者からのヒアリングも行った。また会合では各議員からDVや虐待の恐れから「拙速だ」として慎重論や反対論が相次いだ。

要綱案では家庭裁判所がDVだと認めた場合「単独親権」に切り替えることができるとされている。

一方で被害の当事者からはその認定が困難だとの声のほか、「父と母が理解し協力し合っているとの前提に立っており、実態とかけ離れている」との指摘が上がった。

 

またこの勉強会は立憲民主党の福山哲郎参院議員と自民党の野田聖子衆院議員が発起人となり、立憲民主党の枝野幸男衆院議員、共産党の小池晃参院議員なども参加した。

 

福山議員は幼少期に父からのDV被害に遭っており、昨年のDV防止法改正案に対しても質問主意書を提出するなどその防止に尽力してきた。そのため今回の改正案によるDV、虐待の懸念についても人一倍強い思いを持つ。

mainichi.jp

 

「共同親権」法務省が要綱案を取りまとめ 今国会で提出、成立を目指す


2024年1月30日

離婚後の親権について、法制審議会の部会は、父と母双方に子供に対する親権を認める「共同親権」の導入を柱とする要綱案を取りまとめた。

現行の法制度では子供の親権に対して片方の親権のみを認める「単独親権」となっているが、それに加えて共同親権を認める形になる。要綱案では共同親権の他、父母の子育てに対する責務の明記、養育費の規律を定める事、親子の面会交流の仕組み新設なども加えられるとしている。

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一方これらの改正案に対する懸念の声も多くある。DVや虐待を受けた親や子が加害者の親から逃げて身を隠すことが困難になるのではないか、加害者側の親と距離を置くことが困難になるのではないかといった不安である。

立憲民主党前代表の枝野幸男衆院議員は2022年時点で共同親権に対する懸念事項について述べている。

この懸念に対して要綱案では「DVや虐待などのケースによって親の関与が子に実害を与えると判断された場合、単独親権を行使することができる」として対処可能とした。

しかしこれに対し、DVの認定が困難である事や、片方の親が認めない場合医療、保育、住居の決定に著しい支障をきたす事などから懸念は払しょくされないとの意見もある。