立憲民主党の同性婚まとめ -スタンス、注目議員、他党の姿勢や現状は?-
現政権で議論がなかなか進まない問題のひとつに「同性婚」の問題がある。現与党である自民党の保守派の議員を中心に根強い反対論があり、報道各社の世論調査では同性婚に対する賛成の声がどこも60%〜70%後半を占めているのにも関わらず、議論が進んでいない状態が続いている。
また岸田総理は国会答弁においても同性婚の法制化について「幅広い議論と理解が必要だ」「国民の家族観に関わる」として明言を避け、慎重な姿勢を崩していない。
同性婚に対する立憲民主党のスタンスは?
立憲民主党は現在同性婚の法制化に対して賛成の立場である。
立憲民主党の政策がまとめられている政策集には「婚姻の平等・同性婚の法制化」が盛り込まれている。
"同性婚を可能とする法制度を実現します。性的指向・性自認(SOGI)にかかわらずすべての人に結婚の自由を保障するため、婚姻平等を実現する「民法の一部を改正する法律案」(通称・婚姻平等法案)を成立させます。"
現に2021年衆院選、2022年参院選では同性婚の法制度化を公約として掲げ選挙に望んだ。
また立憲民主党は2023年6月に国会へ「婚姻平等法案」(正式名称:民法の一部を改正する法律案)を提出している。法案では民法の「夫婦」「父母」などの文言を「婚姻の当事者」「親」などへと変更し、同性の当事者間での婚姻、同性カップルの養子縁組を可能にする事を盛り込んだ。
cdp-japan.jpこのように現在立憲民主党は同性婚の法制化について賛成の立場から法改正とその実現に向けて動いている状況である。
法制化に力を入れる議員は?
立憲民主党は「人権を尊重した自由な社会」との綱領の元、性的志向や性自認などによって差別されない社会を提唱しており、同党には同性婚の法制化を初めとして、少数者の権利拡大に尽力する議員が多く在籍している。本項では立憲民主党に在籍し、同性婚の法制化に力を入れている国会議員を何人か紹介する。
・石川大我 参議院議員
比例区選出の石川大我参院議員は、LGBTの当事者であることを公表しており、日本で初めて公職に選出されたオープンゲイの議員として知られる。自分自身が「他人と違う」事を悩み、生き辛さを抱えた経験のある当事者として国会ではLGBTを始めとした少数者のための法制度の整備などに特に注力している。2023年通常国会の予算委員会では岸田首相に対して当事者の立場から「私はいつ愛する人と結婚できるようになるのか」と述べ、LGBTの置かれた状況を当事者として伝えながら同性婚の法制化を強く迫った。また党内ではSOGI(性的指向と性自認)に関するプロジェクトチームの事務局長を務め、2023年の「婚姻平等法案」では事務局長として法案提出の中心を担った。権利保護を目的とした「レインボーパレード」にも多く参加し、今後性的少数者の権利保護においてさらなる貢献が予想される。
岸和田レインボーパレード2024に参加し、約70名の参加者の皆さんと共に、約1時間、岸和田の中心地を歩きました。沿道からもたくさんのあたたかい言葉をいただき、ありがとうございました😊実行委員会の皆さん、交通誘導に協力をいただいた府警の方々、ありがとうございました🌈また来年会いましょう‼️ pic.twitter.com/IkHqLvjJZM
— 石川大我 Taiga Ishikawa🌈全国比例 (@ishikawataiga) March 3, 2024
・吉田晴美 衆議院議員
東京8区(杉並区)選出の吉田晴美衆院議員は、同性婚、選択的夫婦別姓、ジェンダー平等などの進展に力を入れている。2023年の臨時国会では立憲民主党の代表者として首相の所信表明演説に対する代表質問を務め、演説内では同性婚について違憲状態とした地裁判決が相次いでいるとして婚姻平等法案の早期成立を首相に求めた。また衆院予算委員会、法務委員会、憲法審査会でも度々同性婚に関する質問をしているため、ぜひ注目されたい。
・大河原まさこ 衆議院議員
東京21区(区域変更前八王子市、立川市、日野市、国立市、多摩市)選出で立憲民主党所属の大河原まさこ衆院議員は、SOGIに関するプロジェクトチームの座長を求め党内の法案提出などを主導してきた。
先に述べた婚姻平等法案では筆頭提出者に名を連ね、同性婚法制化への取り組みを進めてきたこと、セクシュアリティの尊重や人権保障は普遍的な価値であること、G7サミットにおいて日本が普遍的な価値を共有していることを示せるよう岸田総理が法整備へ向けたリーダーシップをとるべきことなどについて述べ、法案の成立へ向け努力していく決意を示した。
他党のスタンス・現在の進捗状況は?
現在立憲民主党は同性婚に賛成の立場であるが、他党はどうだろうか。
現在政権与党であり衆参で最大勢力を占める自由民主党は2022年参院選における同性婚におけるスタンスについてMarriage for all Japanが送付したアンケートに対し「憲法24条の記述から現行憲法は同性カップル同士の結婚を想定していない」「国民の理解の増進が必要であり、その是非を含めた慎重な言動が必要」として反対の立場を示した。
2023年には岸田首相の元秘書官が同性カップルについて「見るのも嫌だ」「秘書官室はみんな反対」と発言、岸田首相自身も同性婚について「社会が変わってしまう」と発言するなど、党全体としてこの問題に後ろ向きなのが現状である。
一方2022年参院選における野党各党のスタンスは以下の通りである。
「同性婚を認め、パートナーシップ制度の導入を進める」(日本維新の会)
「同性婚を認める民法改正を行う」(日本共産党)
「性的志向、性自認に関する課題の解消に向けた法整備を行う」(国民民主党)
このように、同性婚に対する野党各党のスタンスは概ね「賛成」「やや賛成」で揃っている。
また同性同士のカップルの婚姻が認められない中、自治体が独自に「結婚に相当する関係」を証明する証明書を発行する「パートナーシップ制度」は全国397の自治体に広がっており(2024年3月現在)、その輪は広がっている。
しかし現状においてパートナーシップ制度はカップル間の法的な婚姻関係を証明するものではなく、婚姻と同じ権利を得ることはできない。同性のカップルが異性のカップルと同等の権利を得るにはやはり「同性婚」の法的整備が必要不可欠なのである。