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2024八王子市長選考察 公明の牙城で異例の死闘の背景は

滝田は立憲の8割、無党派層の4割、自民支持層にも食い込んでいる。
初宿は自民の6割弱にとどまり、無党派層は2割にも届いていない。
両角は自民の2割、無党派層の3割。

常勝八王子を支える圧倒的な公明票

八王子は東京24区、萩生田光一衆院議員の地盤であり、2012年の政権交代選挙以降、対立候補の比例復活を許さずに守りきっている。 その底堅さを支えるのは、八王子市内に本部などを要する創価学会である。 公明党は共産党と並び組織力が高く、投票率が低下しがちな地方選挙においても他党に比べて高い割合で支持者が投票する傾向にある。 その上、組織力故に期日前投票を済ませる人は多く、当日の出口調査で勝っていても期日前をまとめると追い越されることが多い。

八王子においての2021年衆院議員選挙の公明党の得票は47000強。そして、様々な選挙で、公明党支持者は自民支持層よりも忠実に自民支持者へ投票する傾向がみられ、8割を割ることはほぼない。ここから考えると、3.8万票は動く計算である。

異例の激戦 滝田氏が示した「広義の野党共闘」

そのような公明党が強い八王子において、今までの市長選挙では8時開票で大差がつき即自公側の勝利が報じられる無風であるのがふつうであった。 しかし、滝田氏は朝日新聞の出口調査で「ややリード」となり、歴史的な健闘をしたと言える。 批判票も大いに取り込んだ結果でなければ、ここまでの大激戦を演出できない。

健闘の背景には滝田氏を支えた、「広義の野党共闘」である。

滝田氏を支えたのは、共産党、生活者ネットワークなどの左派政党のみならず、中道寄りの立憲民主党、国民民主党、そして滝田氏の出身であった一部の都民ファースト議員である。近年の野党連合では「腹六分目」でお互いが納得せずに態勢を中々構築できない中、協力し、八王子で大健闘したことは今後の選挙のモデルとなり得る。

あわただしい初宿氏 焦りを示すように急な相乗り

初宿氏は自公の全面支援を受けた。初宿氏の擁立自体も、公明の東村邦浩都幹事長が主導。自治体選挙では異例となる公明新聞の「激戦追い上げ」報道もなされた。 東村幹事長も当選した後涙ながら感謝の弁を述べるなど、公明党にとって限界の戦いの様子も呈す。

それでも足りなかったと読む陣営は、選挙期間中に急遽東京維新の会と都民ファーストの指示を受ける小池都知事の来援を要請し実現させた。

勝利はしたものの、とりわけ小池都知事に大きく恩を売られることに。自民党は精力的に動く公明にも小池都知事にも、返しきれないような貸しを作る事ともなった。

小池都知事の来援 元部下の滝田、両角両氏に一顧せず

選挙期間中の後半に、小池都知事は急転直下、初宿氏の応援に入る。 両角も滝田の両氏はいずれも都民ファースト所属の市議だっただけに、かつての部下を一蹴した形となった。

都民ファースト自体は分裂選挙の様子を呈していたが、小池都知事の根強い個人票が初宿氏を後押ししたのは疑いない。

2024年に東京都知事選挙を控える中、小池都知事は一層再選に向けて自公を固める貸しを作れた。

広がる両角支持 既存の枠組みに満足せず

両角候補は二大候補の中、東京維新の一部の有志の支援を受けた。その結果、自民票の2割、無党派層の3割で全体の3割と決して無視できない選挙結果を出した。

政治資金問題に対して考慮した有権者からも25%の支持を受けたことも無視できない。今回は滝田氏と批判票を分け合った形だ。

しかし、候補の一本化が成功すれば滝田氏が当選したかと言えばそうでもない。両角候補は保守地盤で二割もの自民票を取り込んでいる中、無党派層3割を得ているとはいえ一本化されれば流出する自公票が減り、初宿氏がさらにリードを広げるとも考えられる。

勝馬に乗れたも存在感がない東京維新 支持者の意向無視した相乗り

東京維新の会は支持者や議員が両角氏を支援していた。しかし、党としては最初から初宿氏への乗り換えありきであり、結果選挙期間中の急遽の初宿氏支持表明となった。 両角氏はこの度無視できない投票を得ることとなったが、東京維新の会は本来支援し、票数で存在感を示せた形である。

東京維新の会は相乗りを重ねているが、載らなかった「維新っぽい」候補は結果として支持を集めることが続いている。支持者の意向を無視した党の決定により、存在感が広がらない。

「広義の野党共闘」の歴史的健闘 排除せずに態勢作れるか

このたびの滝田氏の支援体制は左派にとどまらず、広い支援を受ける「野党共闘」であったと言える。保守がつよい八王子でさえ惜敗となった以上、他の東京都の地域では結果につながる可能性が極めて高い。

かつての「オール沖縄」を主導した翁長雄志沖縄県知事は保守と革新を連合し、お互い「腹六分目」で妥協して一緒に勝つ選挙を目指していた。

新時代の勝利をつかむには、共産党も立憲民主党も国民民主党も都民ファーストも排除せず、お互い納得する「腹六分目」を見つけて戦うことが一つのモデルである。

立憲民主党代表の泉健太氏は「政治資金改革」と「教育無償化」のみを行う、各党の最低限共通する政策で「ミッション型内閣」を作る構想を出している。これを実現するための一つの構図が東京の滝田氏の支援体制であったと確信する。